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弊所所長弁理士友野による「締結金物」事件の解説

弊所所長弁理士友野による「LES判例研第267回「締結金物」事件」が掲載されております。

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※以下は要約版です。詳細版を知りたい方はお問合せ先までご連絡ください。


文書概要

本資料は LES判例研究WG第267回(2025年6月24日) の報告書であり、テーマは

「先願意匠による特許の新規性否定判断の妥当性と訂正の再抗弁の扱い方 ―『締結金物』事件―」

です。


事件の概要

  • 裁判所:東京地裁民事第46部

  • 判決日:令和7年(2025年)3月26日

  • 事件番号:令和5年(ワ)第70449号 特許権侵害差止等請求事件

  • 対象特許:特許第5634732号「締結金物」

  • 当事者

    • 原告:特許権者X、および独占的通常実施権者 株式会社ストローグ

    • 被告:株式会社タツミ

  • 結論:原告の請求はいずれも棄却


特許の内容

  • 木造建築に用いる「締結金物」に関する発明。

  • 柱と梁を丁字状に接合する際、過大な荷重が作用した場合に枝状部が塑性変形し、エネルギーを吸収して部材の破壊を遅らせるという技術思想。


主な争点

  1. 技術的範囲の属否

    • 被告製品がクレーム構成要件(特に「前面部と後縁部が離れて配置」「枝状部を介して一体化」)を充足するか。

    • 双方主張が対立したが、裁判所は判断を示さず。

  2. 新規性欠如(甲5:意匠登録第1179101号)

    • 被告は、先願意匠に同様の枝状構造があり、本件特許の構成要件と実質的に同一と主張。

    • 裁判所はこれを認め、本件特許は新規性を欠くと判断。

  3. 進歩性欠如(甲4:特開平10-331261号)

    • 被告は、枝状部が周知技術であり進歩性も欠如すると主張。

    • 裁判所は明確な判断を示さず。

  4. 訂正の再抗弁

    • 原告はクレーム訂正を根拠に侵害を主張したが、訂正が確定しておらず前提を欠くとして裁判所は採用せず。


報告者の論点整理

  • 第1点:先願意匠(甲5)を根拠に新規性欠如とした判断は妥当か。

    • 裁判所は「枝状部が過大荷重時に変形することは技術常識であり必然的効果」と認定し新規性を否定。

    • しかし報告者は「特許請求の範囲の記載を実質的に無視している恐れがあり、発明特定事項を基準とすべき」と疑問を呈している。

  • 第2点:訂正の再抗弁を認めなかったのは妥当か。

    • 裁判所は「訂正未確定」を理由に排斥。

    • 報告者は、訂正の再抗弁の制度趣旨を踏まえ再考の余地ありと示唆している。


要約

この事件は、木造建築用の締結金物特許を巡る侵害訴訟で、

  • 裁判所は 先願意匠を根拠に新規性を否定し、原告請求を棄却

  • 技術的範囲や進歩性、訂正の再抗弁は主要争点だったが、十分な判断は示されず。

  • 報告者は「新規性判断における発明特定事項の扱い」と「訂正の再抗弁の在り方」に問題提起をしている。


 

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